『おやじキャンプ飯シーズン2』公開記念!馬杉監督独占インタビュー
本記事は一部にプロモーションを含みます
待望の『おやじキャンプ飯シーズン2』の第1話が公開され、公開キャンペーンなどで忙しい年末年始のタイミング。
特別に馬杉監督とお会いする機会をいただき、独占インタビューを行うことができました。
場所は監督のデビュー作品『笠置ROCK!』の舞台となった京都府笠置町「笠置キャンプ場」。
監督のテントにお邪魔して焚き火を囲みながら、ファンが知りたい新シリーズの魅力についてたっぷりお伺いしました。
主人公「坂本明夫」の驚きの名付け秘話など最後までお見逃しなく!
YouTubeドラマ初の「プレミア公開」
Yaiko:『おやじキャンプ飯シーズン2』のプレミア公開には驚きました。
馬杉監督:前からやりたいと思っていました。
まず、YouTubeでドラマ配信というのはすごく珍しく、ある程度ヒットしたので「TVではやらないのか」とお声掛けをいただいたけど、YouTubeだとどれだけの人に観られたのか分かるし、ストレートなコメントがもらえるので逃げ隠れできない。
創り手としても楽しいと思っています。
その中でプレミア公開というのは他のYouTubeではあったけどドラマではなかった。
説明がないドラマとして制作していますが、説明がないからこそ、コメントに皆さんが「こうじゃないか」「あぁじゃない」とかと書き込みをしている。その様子を見て、「これはおじさん達のコミュニケーションツールだ」と思いました。
そこから、「プレミア公開のチャット機能なら盛り上がるんじゃないか」と。
コメントではなく、チャットのリアルな熱狂がもしかしたら生まれるんじゃないかと思いました。
実際、やってみたらすごく良くて面白かったです。
Yaiko:プレミア公開のカウントダウンはとてもワクワクするものでしたね!
馬杉監督:カウントダウンは2分間あります。アニメーションはYouTubeの10パターンくらいあるデフォルトなんです。カウントダウンからチャットが盛り上がってきて、あれは嬉しかった。
チャットはコメントが流れていく気軽さもあり、第1話はリアルタイムで4,000人超えの上映会となりました。
シーズン1 の人気の高さが『おやじキャンプ飯シーズン2』につながった
Yaiko:『おやじキャンプ飯』の続編は考えていましたか?
馬杉監督:もちろん当たれば続編を作りたいなと。ずっと続けられるドラマにしようと元々考えていました。
YouTubeは(再生回数やコメントが)全部見えるし、だからこそ人気がなければ続けられない。続編の声が上がったらやりたいと思っていました。
Yaiko:1年経っての公開となりましたが。
馬杉監督:コロナウィルス感染拡大の影響で延びました。
本当は7月の撮影予定でしたが、結局9月末~10月となりました。
Yaiko:昨年末に『おやじキャンプ飯シーズン2』の第2話が公開されましたが、年末というタイミングは勝負感がありましたね!
馬杉監督:設定が安易過ぎたと(笑)。正月休みにゆっくり観てもらえたらと思いました。
第3話も1月4日から公開中です。
ちなみに、第3話は特に面白いですよ。一番評価が高いのではないかと思います。
山から海へと舞台が移ったシーズン2
Yaiko:舞台が京都から和歌山に移ったのはどうしてでしょうか?
馬杉監督:元々は京都で撮るつもりでしたが、4~5月ごろにOrangeの池田社長とお会いして和歌山県かつらぎ町を案内してもらいました。「ええ町やなぁ」と思いましたね。
池田社長のかつらぎ町愛を感じたので、ここを舞台としたら良い作品が創れそうだなと。
また、海が近かったのも選んだ理由の一つでした。シーズン2をやるなら、漠然と海から始めたいと決めていましたし。
Yaiko:シーズン1の第6話では、娘と明夫の会話の中で「川の流れのように生きる…」というフレーズが出ていました。シーズン2の伏線だったのでは?
馬杉監督:シーズン1の第6話での「娘との釣りのシーン」は全部アドリブで。セリフも近藤さんによるものでした。「面白いことを言ったな~」と。
近藤さんと、シーズン2の第1話で出演いただいた角野卓造さんは熟練の二人。
あんまり喋らせたくなかったしカッコいい事も言わせたくなく、半分うさん臭いような感じでセリフを一言だけ喋らせたいと、あれを使おうとなりました。この辺りは分かる人に分かればいいかな。
続編らしさも出て、シーズン1第6話のシーンとの繋がりに気づくかなと思いました。
Yaiko:海から山へのイメージがあったのですか?
馬杉監督:最初からではありませんでした。
あらすじを考えつつ、シナリオ班で色んな所を見に行くなかで、かつらぎ町の「新子キャンパーズパーク」が良かったのでそこで本を書いていこうとなりました。
ロケ地を探しつつ並行して本を書いていきました。
Yaiko:明夫の生活感も丁寧に表現されていますね
馬杉監督:物語以外でも坂本明夫という人間がどうやって生きてきたか、どこに買い物に行ってとか、人物像の設定は脚本を創っていく段階で一緒に描いていきます。
薪を調達する材木屋、コーヒー豆を買う珈琲屋など…他にも実際にかつらぎ町に存在するお店を基にしていますね。
シーズン2の第1話を深堀り
Yaiko:シーズン2の第1話で角野卓造さんが登場し、ビックリしました!
馬杉監督:第1話はすごい重要なので「何か今までにないものを残したい」と思っていました。
『おやじキャンプ飯シーズン2』の第1話に登場するゲストキャストは、みんながワクワクするような人を出したいと思って。
角野さんは『渡る世間は鬼ばかり』で幸楽で中華料理をされているので、新旧じゃないけど中華料理人同士が出会うのも面白いなと思いました。
オファーさせていただいた時、近藤さんも角野さん(10歳くらい上ですが)もお互いすごいリスペクトされていて。「舞台も観ているが、ちゃんと共演したことがないのでやりたい」と出演が決まりました。
Yaiko:プレミア公開では角野さん登場でチャットがざわつき、「春菜キター!」と流れていたのがとても面白かったです。
馬杉監督:角野さんが演じるのは「2年以上ホームレスをしている」という設定で、とても説得力がある人というキャラクター。ホームレス歴でいうと、初めて明夫を超える人が登場しました。
Yaiko:明夫のホームレス生活はどれくらい経過しているのでしょう?
馬杉監督:シーズン2の第1話では、明夫のホームレス生活が3か月経過しているという設定です。シーズン1の第1話の設定では、ホームレスになって1か月が経過していて。シーズン1の全6話で1ヶ月を過ごし、シーズン2はそこから1ヶ月しか経っていない、という感じです。
和歌山に辿り着き、角野さん演じるホームレスから「何でここに来た?」の返事について第1話では勿体ぶったというか説明はされてないですが、単純に京都のキャンプ場が冬期休暇で追い出されたのが理由です。
作中の「新子キャンプ場」では冬期も開いている設定としました。
Yaiko:重みのあるセリフはどのように選んでいるのですが?
馬杉監督:その場で(セリフを)削るのではなく、役者と脚本家と打ち合わせをする中で、何回も書き直して削っていきました。
シーズン1ではその作業が大変でしたが、シーズン2ではみんなキャラクターが分かっているから「ここは要らないよね」という具合にサクサク進みました。
脚本上にはいっぱいセリフを書いていますが、そのほとんどは心のセリフとしています。
Yaiko:若い時の明夫の映像が登場しますが、一緒にいるのは?
馬杉監督:一緒にいるのは元奥さんですね。シーズン2は元奥さんがキーマンとなります。
娘は宇宙飛行士でシーズン1で地球に帰ってきてるので、設定上すぐに宇宙に上げるのは難しく「別の人を」となりました。
元々、シーズン2は「やっぱり別れた奥さんが軸かな」とずっと頭の中にあったんです。
前回のTAKIBIのインタビューで奥さんの話をした気がします。
Yaiko:シーズン1では、テント内にいる元奥さんの手元だけが映る回想シーンがありました。
馬杉監督:とても大切にしている思い出で、やはり明夫を描くには重要な部分なのではと思いました。
どんな奥さんだったのか。なぜ別れて今のような生活になってしまったのか。
ファンの皆さんも知りたい事だったと思います。
ドラマでは何も描いていないのに、元奥さんのことを気にしていたんですね。
Yaiko:入り江になっている海のシーンがとても美しかったです。
馬杉監督:福井や京都の北部から白浜まで…海岸沿いを1週間くらいかけてほぼほぼ全部回りました。
あまり人気がなく静かで釣りが出来る浜。
釣りが出来る場所といっても、規制がどんどん書き換えられるので難しいですけど。
堤防が美しく環境を邪魔していない、さらに焚き火ができる場所を探しました。
そして、ここのスケール感が一番良かった。
目の前にこんもりした山がすごく印象的で美しく、入り江になっていて波もうるさくなくてベストでした。
あともう一つ大事なのが、イカが釣れるきれいな場所かどうかもありました。
Yaiko:イカを使った料理シーンには興奮しました!
馬杉監督:刺身と空芯菜。よく空芯菜と気づいたなと。
一言も言ってないし、俺も知らなかったくらいです。
第1話は中華鍋を使いたかったので、料理指導の岡山君にイカと中華鍋を使ってなんとか中華っぽくしたいとお願いしました。
明夫は金持ちじゃないからなど、色々とリクエストして決まりました。
「坂本明夫」の名前の由来
Yaiko:ふと疑問に思ったのですが、坂本明夫の名前に決まった理由はあるのですか?
馬杉監督:最初の映画作品である『笠置ROCK!』でお世話になりリスペクトしているお二人、シーズン2のキャンプコーディネーターである「坂本英人さん」の名字と『笠置ROCK!』の出演者「西昭夫さん」のお名前からいただきました。
本当はシーズン1の撮影を笠置キャンプ場で撮りたかったのですが、様々な理由が重なり、実現できませんでした。
笠置キャンプ場は駅と隣接しており、明夫とここ(笠置駅)の電車は色味が合うでしょう?1話だけでもいつかやりたいですね。
笠置寺も含めてあのキャラクター(明夫)は笠置にすごく合うと思います。
近藤芳正さんも笠置山に登ってますしね。