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キャンプに慣れてくるとギアを自作する人も増えてきます。これは、理想的なギアが見つからないというだけでなく、他人と被りたくない、キャンプギアをすべて揃えるとお金がかかるなど、様々な理由が挙げられます。
ギアを自作するとなるとハードルが高いように感じられるかもしれませんが、実際には簡単に作れるものもあります。今回はその中でもアルコールストーブを自作する方法についてご紹介しましょう。アルコールストーブの特徴から仕組み、メリット、注意点などもまとめたのでDIY初心者の方もぜひ参考にしてみてください。
アルコールストーブとは?
アルコールストーブは非常に便利なギアで、キャンパーの中でも根強い人気を誇ります。アルコールストーブとはキャンプでよく用いられるガスコンロとは違い、アルコールを燃料にしたコンロを指しています。ここからは、アルコールストーブの特徴についてご紹介していきます。
コンパクトで持ち運びしやすいコンロ
アルコールストーブは、ガスコンロよりも軽量でコンパクトなので持ち運びにも便利なギアです。この特徴からキャンパーだけでなく、登山者やバックパッカーからの人気も高くなっています。
アルコールストーブは製品にもよりますが、アルコール大さじ2杯(30ml)ほどで9分程度燃焼します。販売されている既成のアルコールストーブの最大容量が70mlほどなので、約25分ほどは持続可能です。
通常、焚き火やガスコンロを持って行くとなると荷物がかさみ、持ち運びもしにくくなってしまいます。しかし、アルコールストーブであればコンパクトかつ火力、燃焼時間も十分なコンロになります。
アルコールストーブの仕組み
アルコールストーブは様々なタイプがありますが、二重の壁で構成された非加圧式が自作では一般的です。燃料であるアルコールを中心部分に入れ、火を付けたらそのまま内筒内で燃焼させます。
容器が温められていくとストーブ内のアルコールが気化していきます。
内筒の下側にはあらかじめ穴を開けているので、外壁と内筒の間にもアルコールが流れ込み、そこでも気化していきます。
内部の蒸気圧により内筒と外壁から勢いよく火が立ち上がります。外壁にはあらかじめいくつか穴を開けておくことで、その穴から火が噴出してコンロのように使うことができます。
内筒部の火は、アルコールがただ燃えているだけになるため燃焼率はあまり良くありません。外壁から噴出している火は、気化したアルコールに引火することで燃焼効率が高くなります。
アルコールストーブを利用するメリット
キャンプで火を使いたい時、アルコールストーブ以外にも焚き火やガスコンロといった様々な手段があります。
初心者であればガスコンロの方が火を付けやすいのではないかと思う方も多いのではないでしょうか。しかし、ガスコンロ本体やガス缶は荷物としてかさばりやすく、身軽さが重視される「徒歩キャンプ」や「山キャンプ」といったスタイルには不向きです。
そこで、アルコールストーブが重宝するというわけです。続いては、アルコールストーブを使用するメリットについて解説していきましょう。
薪の準備や灰の処理をしなくて良い
「キャンプと言えば焚き火!」という方も多いでしょう。
しかし、焚き火は思っている以上に準備と後片付けが大変です。まずは、火熾しするための道具を用意しなければなりませんし、薪の用意もする必要があります。
薪はただ落ちている木の枝ではなく、しっかりと燃えやすいものを選んだり、バトニングが必要など、手間がかかります。
また、焚き火を片付ける際は、燃え残った灰をしっかり処理しなければなりません。
炭などを利用していれば、消火に時間がかかりますし捨て方にも注意する必要があります。その点、アルコールストーブであればアルコールを燃料としているので準備も簡単。なおかつ燃えカスや灰も出ないので、片付けが楽になります。
冬キャンプでも着火しやすい
寒い時期にキャンプする際、アルコールストーブが重宝します。
ガスコンロは簡単に着火できるため非常に便利ですが、寒い環境だとガスが気化しにくく、火力が弱まったり、着火しにくくなるというデメリットがあります。しかし、アルコールストーブであれば寒さに関係なく着火でき、火力が安定します。
燃料用アルコールが入手しやすい
焚き火は薪や炭を使いますが、アルコールストーブは燃料用のアルコールを使用します。
燃料用のアルコールは、意外とどこにでも販売されているので入手しやすくなっています。
例えばホームセンターやドラッグストア、大手スーパーなどの薬品コーナーなどでも販売されていることが多く、もし燃料用のアルコールが足りなくっても手軽に入手できるのが魅力的です。
自作アルコールストーブの作り方
非加圧式アルコールストーブは非常に単純な構造となっているので、自作しやすいギアです。初心者でも簡単に作ることができるだけでなく、シンプルな構造なので壊れにくく、面倒なメンテナンスもほとんど必要ありません。
ここからは、そんなアルコールストーブの作り方をご紹介していきましょう。
アルコールストーブを作る時に必要な道具
アルコールストーブを作る際、いくつか必要な道具があります。
どれも専用工具ではないので、100均などでも手軽に用意できます。どんな道具が必要になってくるのかご紹介しましょう。
・アルミ缶
アルミ缶は350mlであれば2つ、500mlであれば1つ用意してください。普通のアルミ缶でも問題ありませんが、できれば飲み口が狭まっているボトルタイプ、さらに缶の底面が平らではなく内側にへこんでいるものが好ましいです。
※今回は、ボトルタイプの缶を使ったアルコールストーブの作り方をご紹介します。
・缶切り
アルミ缶を切断するために使う缶切りは、通常の缶切りではなくハサミやカッターなどを準備してください。自宅にあるハサミやカッターなどでも十分アルミ缶は切断できます。自宅になければ、100均などでも手軽に購入できます。
・ラジオペンチ
缶切り同様に自宅になければ、100均でも購入できます。
・きり(アイスピックでも可)
※押しピンでも代用できますが、ケガしないように注意してください。
・棒やすり(紙やすりでも可)
アルミ缶の切った断面にやすりをかけるほか、アルミ缶の塗装や作る際に目印として付けた油性ペンの跡などを消す際に使います。紙やすりでも代用可能です。
・軍手
素手では切断した缶の縁などでケガをしてしまう恐れがあるので、作業時には必ず滑り止めゴムのついた軍手を着用してください。
①フィルムを剥がしてアルミ缶を2つに切断する
アルミ缶の表面が印刷ではなくフィルムであれば剥がしておきます。
印刷されている場合は、紙やすりで削り取ることも可能です。見た目が気にならないのであれば、そのままでも問題ありません。
アルミ缶を2つに切断する際、あらかじめ側面に目印を付けておくと真っすぐ平行に切断できます。
目印の高さを調整したら、カッターやハサミで切っていきましょう。自宅にあるカッターやハサミでも十分切れます。
アルミ缶は非常に柔らかいので、形が多少いびつになってしまうこともあります。もちろん形が少しいびつになっても性能自体には問題ありません。
いびつにならないようにするには、カッターの刃を一定の高さに固定してそこにアルミ缶を当てて何回もなぞるようにすると、綺麗にカットできます。
切断した面は必ずやすりをかけてください。やすりをかけないまま次の作業をしていると、アルミ缶の切り口で手を切ってしまうことがあります。完成後にもやすりをかけますが、作業中にケガをしないためにも、缶を切断した時点でやすりをかけておきましょう。
②飲み口部分に切り込みを入れる
ボトルタイプの飲み口部分に数箇所切り込みを入れます。
この切り込みがあることで、アルコールが中心部分だけでなく側面部分にも流れ込みます。切り込みを入れる際には、ハサミでも良いですが棒やすりを使うと簡単です。
棒やすりで切り込みをいくつか作っていきます。紙やすりの場合、割り箸などに巻き付けると使いやすいですよ。
③下側の缶に穴を開ける
切断したアルミ缶の下側に火を噴出させる穴を開けます。穴を開ける際には、用意しておいたきり(アイスピック)を使いましょう。
穴を開ける位置は切断した部分から1cm下くらいがちょうど良いです。穴の間隔を均一にしたいのであれば、あらかじめ開ける間隔を印した紙やマスキングテープを巻いておくか、油性ペンなどで目印をつけておいてください。
穴の数と大きさによって火力の大きさが異なってきます。弱火にしたいのであれば穴は少なめに、かつ小さくしてください。通常の穴の目安としては、1mmくらいの大きさで20個ほどがおすすめです。
④飲み口を逆さにしてもう片方の缶にはめ込む
切り込みを入れた飲み口を逆さにし、下側の缶にはめ込みます。アルミ缶は柔らかいので内側がへこんでしまわないよう注意してください。隙間のないようしっかりとはめ込みます。
はめ込む際には床に置いて、下に隙間が空かないよう押し込んでください。
調味料ボトルの裏部分を使って押し込むとキレイにハマります。
⑤はみ出ている部分はやすりをかけて調整
飲み口部分を下側にしっかりとはめ込んでから、下側の缶からはみ出てしまった部分をやすりで削って調整していきます。
たくさんはみ出てしまった場合は、やすりをかける前にラジオペンチで内側に折り込んでから整えましょう。やすりで調整すると見た目も綺麗に仕上がります。
自作アルコールストーブを作る時に注意したいこと
アルコールストーブは初心者でも簡単に作れるギアですが、ケガをしてしまう恐れもあるので注意して作らなければなりません。
ここからは、自作アルコールストーブを作る時に注意してほしいことをいくつかご紹介していきます。
アルコールの使用には十分注意する
アルコールストーブはその名の通り、燃料にアルコールを用います。
アルコールは非常に引火しやすいので、扱いには注意が必要です。アルコールストーブに入れる際、アルコールがこぼれたり、飛散した状態で火を付けてしまうと、思わぬ大惨事につながります。アルコールをストーブ本体に移す際は、慎重に行いましょう。
自作のアルコールストーブ完成後、問題なく使用できるかテストする際は、できるだけ屋外で行うようにしてください。アルコールが燃焼した後のガスには有毒成分が含まれているので、長時間室内で燃焼させると目が痛くなってしまうことがあります。
また、アルコールストーブ本体が非常に熱くなるので、樹脂や木の上で燃焼させるのも避けてください。もし、室内でテストするのであればキッチンの換気扇を回し、フライパンなどの上に置くようにしましょう。
水や濡れタオルを準備しておく
アルコールストーブを着火する際は、必ず水や濡れタオルの準備をしてください。万が一、火が広がってしまってもすぐ消火できます。
火は想像以上にあっという間に広がってしまいます。火事を防ぐためにも油断せず、あらかじめ準備だけはしておきましょう。
缶の切り口に気を付ける
アルミ缶を切断した後、やすりをかけていない状態だと切り口で手を切ってしまう恐れがあります。軍手をしていないのであれば、缶の切り口には十分に注意してください。
自作アルコールストーブの作り方まとめ
アルコールストーブは非常にコンパクトサイズで持ち運びしやすいので、荷物を減らしたいキャンプスタイルを中心に人気があります。
構造がシンプルなので壊れにくく、取り扱いも簡単なため、キャンプ初心者でも着火から片付けまで簡単にできる優れものです。
しかし、燃料であるアルコールは火が付きやすくケガをしてしまう危険性もあります。
アルコールストーブを使用する際には、燃えやすいものを近くに置かないようにしたり、水を用意したりするなど取り扱いには注意してください。
また、アルコールストーブは今回ご紹介した通り、簡単に自作できます。自作することでより愛着も湧きやすく、コストを抑えることも可能です。
工程が少ないので簡単に作れますが、ケガをしないように気を付けながら作成してください。
慣れてきたら、好きなデザインのアルミ缶を使用したり好きな模様を描いたりして個性豊かなアルコールストーブを作ってみることもおすすめです。