投稿日:2021年6月13日 | 最終更新日:2021年8月18日
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こんにちは!北海道在住のTAKIBIライターちゃみです。
キャンプに行けない時でもキャンプのことやギアのことを考えちゃうのはキャンパーあるあるだと思いますが(そんなの私だけ?)、ノーキャンプの休日にはお気に入りのランタンを眺めて磨いて過ごしています(笑)
そんな私のお気に入りのヴィンテージランタンの中から、今回はイギリス製のランタンTilley X246シリーズについてご紹介したいと思います!
Tilleyについて
イギリス製ランタンといえば、Tilley(ティリー)、Vapalux(ヴェイパラックス)、Bialaddin(バイアラジン)の3ブランドに代表されますが、柔軟な発想をもって多くの特許を取得したティリーランタンなくして後の2ブランドは誕生しなかったと言われています。
ちなみにティリーとバイアラジンはブランドの終焉を迎えましたが、ヴェイパラックスは韓国の会社に製造販売権が譲渡され、現在も販売されています。
Tilley社はもともとイギリス鉄道の車内用ランプの需要が高かったのですが、車内を照らすテーブルランプなどのおしゃれさから支持を集め、徐々にランタンも多くの人から愛用されるようになりました。現在でもとても人気のあるヴィンテージランタンブランドのひとつであり、『良いものを長く大切に使う』という気風のある本国イギリスにはコレクターさんも多いそうですよ!
最近では台湾を始めアジア圏でもキャンプブームで、それに伴って価格が高騰しつつあり、状態の良い個体の入手が難しくなってきています。
Tilleyランタン スペック
燃料:灯油(タンク容量約850cc)
サイズ:約180mm×340mm(ハンドル除く)
素材
タンク~真鍮
ベンチレーター及びフレーム~真鍮またはスチール
重量:約2.3kg
明るさ:300cp
生産国:イギリス
Tilley X246シリーズって?
ティリーのランタンとして有名なのは『X246B』というモデルですが、そこに至るまでには『X246』→『X246A』→『X246B』といったモデル変遷の歴史がありました。この3モデルを総称して『Tilley3兄弟』と呼ぶこともあるそうです。各モデルの中でもマイナーチェンジを繰り返しており、通称が付いたモデルがあったり、前期・後期モデルが存在しています。
それぞれのモデルを詳しく解説します!
Tilley X246 ポークパイ
個人的に一番大好きなモデルです!レアな個体であることもさることながら、以降のモデルにはない優美さと豪華さが感じられます。画像左が初期型、右が後期型です。
通称‘ポークパイ’と呼ばれるこのランタンはX246シリーズの最初期に発売されました。イギリスで付けられたポークパイという通称は、このモデルのタンクの形状に由来するのではないかと言われています。タンクにモデル名などの刻印はありません。初期型・後期型で仕様に変更があるので、違いを見ていきましょう。
初期型のモデルはベンチレーター・フレーム・ハンドル・タンクに至るまで全てが真鍮製という豪華仕様になっています。ハンドル付け根の凝った加工も初期型だけにみられる特徴です。
対して後期型のポークパイは、ベンチレーターは真鍮製ですが、フレーム本数が横2本から横3本になり、素材はスチール製に変更になっています。(※所有の後期型はフレームが金色塗装されています)
フレームの素材変更の理由としては、真鍮は高価かつ柔らかく変形しやすいため、安価で加工のしやすいスチールに変更になったと思われます。このスチールフレームはこの後のX246シリーズに引き継がれていきます。また、ハンドル付け根は曲げ加工のシンプル構造になっています。
フレームの接続方法は、初期型はフレームの支柱がタンクに直接取り付けられています。後期型はタンクとフレームの素材が違うため、ネジで固定する方式に変更になっています。
燃料キャップ兼圧力ポンプも高級感のある作りになっていますね。
ガラスグローブ(ホヤ)は『171』という型番のグローブが全シリーズ共通で使われています。画像のPYREXグローブはオリジナルグローブで、印字が違うものもあります。
Tilley X246 ガーズマン
ガーズマンはポークパイと同じX246モデルで、マイナーチェンジ後の通称です。見た目がポークパイと全然違うので、同モデルとはとても思えませんよね(汗)個人的には別のモデル名を与えたほうが良かったのでは…と思うほどの変更がなされています。また、同じガーズマンでも年代によって細部に小変更が見られますので、変更点に注意しながらご紹介します。
ポークパイからガーズマンへのマイナーチェンジの際に、ベンチレーターの素材が真鍮からスチールに変更になり、形状も変わりました。Colemanなどのランタンと同じく琺瑯塗装が施されています。
このベンチレーターの形状はこの後のX246シリーズに受け継がれていきます。
ガーズマンモデルにマイナーチェンジ直後はポークパイ後期型と同じ仕様だったハンドル付け根の形状は、のちに変更になっています。変更後のこの形状はこの後のX246シリーズと共通の仕様です。
この形状になったことにより、それまでのモデルのベンチレーターはヴァポライザーと接続して乗せているだけだったものから、ベイルハンドルで挟んで固定されるようになりました。
タンクの形状もポークパイから変更になっていて、ポークパイよりも大きな凹凸が少ない印象ですが独特な形をしています。フレーム支柱は垂直に下りてきてネジで固定される、ポークパイ後期型と同じ仕様です。
また、私が所有する個体にはタンクに刻印がありませんが、ガーズマンの中にはTILLEYの文字、OWLマークと呼ばれるフクロウマーク、ENGLANDの文字の刻印がタンクに入っている個体が存在します。タンクに刻印が入る以前の古い個体には刻印の代わりにシールが貼られていたようなので、刻印の有無は古い個体を見分ける目安のひとつになりますね。また、ポンプの形状はポークパイに比べて少し無骨な印象のものに変更になっています。
Tilley X246A
X246‘ガーズマン’の後に発売されたのがX246Aです。コストダウン前の希少なモデルであり、製造期間が1960年~1964年頃と短いため入手が困難なモデルとも言われています。ティリー好きの人の中には、このモデルが一番好き!という人も多いです。
ベンチレーターやフレームはガーズマンから引き継がれた形状ですが、タンクの形状の変更に伴ってフレーム支柱が接続するネジの手前で少し曲がっています。これまでのX246はフレーム支柱が真っ直ぐだったので、これはX246Aの特徴のひとつになります。
タンクはガーズマンに比べてより丸みのある形になっており、TILLEYの文字とモデル名X246、ENGLANDの文字が刻印されています。
ポンプ形状は、ポンピングの時に指で押す部分がフラットになり、X246シリーズ中で最もシンプルな形状になりました。
Tilley X246B
X246Aからコストダウンされ量産されたモデルがX246Bです。前期型・後期型が存在しており、フレーム本数の違いから判断することができます。ちなみに前期型はX246Aと同じくフレームが横3本であり、私が所有するX246Bはフレームが横2本なので後期型です。
フレームの形状はX246Aから受け継がれていますが、タンクへの接続方法に最大のコストダウンと量産化への工夫が見られます。タンクに直接フレームを接続していた今までのモデルに対し、X246Bからはフレームそのものをひとつの部品として一体化し、タンクにフレーム部を乗せるだけの仕様になっています。
フレームをタンクにネジで接続する手間を省いたことで効率化と量産化に繋がったのがわかりますね。
タンクにはTILLEYとENGLANDの文字の刻印がありますが、モデル名の刻印はありません。
ポンプ形状はシンプルを極めていたX246Aに比べ、ポンピング時に指で挟みやすい形状に変更になっています。
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